第1章

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++++++++ ここは、地球の裏世界、通称、魔界。  ここには人はおらず、存在するのは、魔物か魔界獣、そして悪魔だ。  悪魔とはいっても、見た目は人間の身体に現代人の着ている衣服を着る。唯一違うのは頭の違いで、皆一様に別々の獣の顔を持つ。  悪魔は強い。あるものは火を吹き、あるものは全ての物を凍らせ、またあるものはあらゆる自然現象を操り、およそ人間の体力よりも遥かに強い身体能力を有するそれが悪魔である。  悪魔には位がある。王に当たる地位を頂点にして32階級存在する。  その32の階級から代表を募り、魔界の情勢を統括しているのが魔界統括部、通称、魔界部(まかいぶ)  魔界部に集まる悪魔は皆、その階級でも最強クラスの能力と力を持ち、その階級の他の悪魔達をまとめあげているリーダー的存在である。  その悪魔のリーダー達が集い協議する場で今、ある議題が話題に上がっていた。  議長を勤めるは、第11級を納める八木角(やぎづの)の長老、名をゲズと言う。 「問題は深刻である。其れ故、可能な限りの手を尽くした。だが駄目だった。いや無駄と言っても良い。外側の空間(そとがわのくうかん)はもう持たない」  長老は、そう言って疲れた表情を見せる。くたびれたねずみ色のスーツと、Yシャツに黒い革靴が映える。
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