第1章

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 二つの炎と炎弾は上空で激しくぶつかり合い火柱となって正門前の街灯を消し炭にした。  その異変に気づいた登校中の生徒が視線を火柱の上がった方向へと向けてきたので俺と奴は元の場所に戻り奴は元の姿でこう言った。 「場所を変えよう。続きはその後だ」 ――校内 今奴と俺は校舎からはなれた体育館裏に座っている。  長い草が映えた手入れのされていない土を踏みしめてよく晴れた朝日の中での悪魔との対談だった。 「要件は分かっている。人間界に悪魔は不要だとそう言いたいのだろ?」 「違うな。アンタにはひとつ聞いときたいことがある。外側のモノについてだ」 「簡単にいってくれるが僕は悪魔だよ。願い事があるならそれ相応の代価を払ってもらわないとだね」  そんな事をしれっとした態度で俺に返してくるのだった。しかし、食い下がるわけにいかないのもまた事実だった。 「代価はない。代わりに情報をやろう。それじゃダメか?」 「情報次第ですね。僕は悪魔だけど向こうの魔界とは現在無縁でね。そっちの事情なんて正直興味ないから」 「魔界天使の居所が分かった」  俺の言葉を聞いた悪魔教師はその場で息を飲んだ。それだけ重大な情報だと奴が理解したのだとそのとき分かった。
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