邪気×チョコ

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 「明日、誰かにチョコ渡すー?」 「うーん、今年は友達だけかな」  廊下で交わされる女の子の会話。  チョコレート? 私の頭の中でそれがすぐさま「バレンタイン」の文字と直結される。聖ウァレンティヌスの名を冠する祝日。 「ふっ……私には、関係ないわ」  いや、待てよ。ひとりごちて数歩廊下を歩くも、私はすぐに足を止めた。  このバレンタイン、よく考えてみれば結社の陰謀である可能性がある。聖なる眼を持つ彼らは、世界を掌握するために人々の心を取り込もうとしているのだ。    それは、まずい。  このことに気づいているのは多分私一人。ならば、止めるのは私しかいない。  拳に炎を揺らめかせたのにも気づかず、私は少し上機嫌で歩き出した。  聖なるチョコレートを打ち消すほどの、みんなを引き戻すための食材を買いに行こう。
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