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腕を押さえたまま足早に教室を出ていくカヤ。それを見守っていた数人の男子がコウキの元に近寄ってきた。
「大丈夫か? あいつ、ほんと頭逝ってんな」
「そーゆーことは言うもんじゃないよ」
友人を軽くいさめるコウキ。別の一人が、からかうような口調で口を開いた。
「でもさぁ、よくあいつの相手してられるよな」
本を読んだまま、コウキは小さくうなる。
「ま、別に楽しいからいいんじゃね?」
それに、と彼は続ける。
「あいつも充分、楽しそうだしさ」
微笑みを浮かべるコウキを、友人たちは不思議そうに見ながらも納得した。
机の中にしまわれたビターチョコレート。真剣な顔でカヤがそれを選んでいた様子を思い出して、コウキはもう一度小さく微笑んだ。
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