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「……」
エンジンをかけようとした直前、向かい側に建っている本屋から出てきた女性二人が目に留まり、その手を止めた。
少し癖のある、肩よりも少し短めな黒髪。
おそらく150ちょっとくらいの身長。
隣を歩く若い女性よりも若干ふくよかな彼女は、春から同じ課で補佐をしてもらっている小宮静佳(しずか)だった。
小宮さんはとても仕事ができる女性だが、それを鼻にかけることなく、むしろ周囲への気配りを忘れない大人な女性だ。
気さくで人懐っこく、同僚からも慕われ、喜怒哀楽を素直に示すものの8割方は笑顔で、彼女の明るさと朗らかさのおかげで職場が和んでいると言っても過言ではないだろう。
……ただ、自分に対しては除く。
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