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「……」
こんなに飲みっぷりのいい女性は初めて見た。
そんな飲み方をすると危険だと言おうとも思ったが、その後「へへ……」と何かを噛みしめるかのように口元を緩ませる様子があまりにも幸せそうで、口をつぐんだ。
小宮さんは色白で、顔にはほんの少しソバカスがある。
化粧っ気がないのにもかかわらず肌はキレイで、赤ちゃんみたいに弾力のありそうな質感。
まるで……あれだ。
大福……。
…………ん?
「よだれ」
「え?」
「出てますけど」
「ありゃ?」
“ありゃ?”?
「ありゃりゃりゃりゃ?」
小宮さんはよだれを拭かずに、ジョッキを隔ててそのまま顔を90度近く傾けた。
ジョッキ越しに見える彼女の顔はビヨーンと伸びて、たいそう不細工に歪む。
「南条さん、変な顔」
「……」
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