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「スマホ持ってもらえます?」
小宮さんが腕組みした手をテーブルに乗せ、前のめりになりながら唐突に言ってきた。
「はい?」
「スマホ」
「あぁ……。はい」
何を言っているんだと思いながらも、一応つきあう。
堤課長の時にも散々絡まれてきたので、酔っ払いには逆らわないほうがいいと心得ている。
「はぁ……。手が大きいからスマホがちっちゃく見える。……私、スマホになりたい」
「……そうですか」
「たとえば自分が持ってたら普通のコップなのに、男の人が持ったらちっちゃく見えることあるんですよね。あれと一緒です。なんて言うんだろ、こう、男性に“オトコ”を感じる瞬間? そういう些細な瞬間……大事にしたいものですよね。うん」
「……はぁ」
これは、とりあえず相槌を打っておけばいいのだろうか。
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