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彼女の腕を握り、体を支えて立たせると、なんとか石段に座らせることができた。
街からは離れていることもあってか人通りは少なく、車だけが行き交う。
とりあえず、水かお茶でも買って……。
「じゃーんけーん」
「え?」
「ぽんっ」
本当に急に言われたが、条件反射だろうか、チョキを出した小宮さんの前で、気付けば俺はパーを出していた。
「うわ、レア。南条さん、じゃんけんとかするんれすね」
させたのだろう、と思いつつ、出した手を戻す。
「しますよ。……というか、私を何だと思っているんですか?」
「王子。もしくは……神」
恍惚とした表情でそう返す彼女に、俺は一瞬言葉を失い、
「…………ご期待に沿えず、申し訳ないです」
と答えた。
思った以上に面倒な出来上がり具合だ。
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