3206人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
店内は落ち着いた感じで、音楽も照明の落とし具合も嫌味がなく、ゆったりとした空気が流れていた。
騒がしい客もいないし、マスターの雰囲気も良い。
飛び込みで入った店にしては当たりだろう。
にしても……。
「なかなかさめないですねぇ」
「酔いがですか?」
「夢からです」
「夢ではないですが」
「またまた~」
フカフカ過ぎて沈んでしまうくらいのソファに座り、ローテーブルを挟んで向き合っている小宮さんは、ケタケタ笑いながらファジーネーブル風ノンアルコールジュースを飲んだ。
もれなくグラスの底にコースターをつけながら。
彼女はお酒だと思っているが、注文した時にこっそり店員に変更させていた。
ほんの少しだけだが、呂律も戻ってきたような気がする。
最初のコメントを投稿しよう!