side N

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「……2、1…………」 つぶらな瞳でじっと見つめてくる小宮さんは、お風呂にでも入っているかのような至福の顔で気持ちよさそうにふにゃっと笑い、今にも喉からゴロゴロと聞こえてきそうな……。 「はー。ありがとうございました」 小宮さんの声にハッとして、俺は手を離した。 途端にバーのジャズミュージックも耳に戻ってきて、それで初めて自分がぼんやりとしていたことに気付く。 「やっぱりいいですね、頭なでなで。女性ホルモンごちそうさまでした」 「恋人にやってもらえばいいじゃないですか?」 「いたらこんな妄想しませんよ」 小宮さんは据わった目で悪態をつく。 ……妄想? 「私ですね、もうかれこれ10年、彼氏がいないんです」 「そうですか」 「そして腐ってるんです」 「腐ってる?」
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