side N

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「まぁ、でも、彼女はいらなくても、癒しは欲しいですけど」 「癒し? お前にとって癒しってなんだよ」 「ネコとか。昔実家で飼ってたんです。今のマンションNGなんですが」 「ネコ……。色気ねぇな、お前」 「今は女性よりもネコに触りたいですね」 「……終わってるな」 「終わってる」 堤課長と羽島課長は、ズズズ……と、わざと音を立てて焼酎を啜り、遠い目をした。 誰にでも向き不向きがある。 ただ自分のそれが恋愛だったという、それだけだ。 想像ができる。 交際を始めても本気で愛せない自分と、捏造された理想との差に冷めていく相手。 無意味であり、無駄であり、面白みひとつ見い出せないもの。 今のところ、自分の中の恋愛というものは、そういう位置付けだ。  
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