side K

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「では」と言って外へ出る南条さん。 私は胸を押さえて90度会釈をしながら、 「い、行ってらっしゃいませ」 と、どもり声で見送った。 「はぁぁぁぁぁーー……」 扉が閉まると、ひとりきりになったエレベーター内で、大きな大きな深呼吸をして心拍を整える。 ようやくちゃんと息ができた気がした。 「ちくしょう。かっこいーなぁ、もう……」 顔を両手で覆って上を見ると、鏡になっている天井が間抜けな私の姿を映した。 そして、この平凡女が、さっきは貴公子と一緒に映っていたのかと思うと、想像できるそのツーショットのアンバランスさに、違うため息がもれた。 「はぁ……。次は何ダイエット……しようかな」      
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