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杉中さんは、横3席分斜め前の南条さんをわざとらしく盗み見してみせて、含み笑いをする。
「って、杉中さん。アナタが席変わったからでしょ!」
「アハハ、ごめんごめん。でもあの日、小宮さんめちゃくちゃ楽しそうに話してたし、南条さんもちゃんと話聞いてたみたいだし、全然大丈夫だったよ」
「めちゃくちゃ楽しそうに……って、めちゃくちゃいっぱい……喋ってたってことよね? 一方的に」
「うん、いつもの8割増しくらい」
「ぐは」
ガッデム。
でもこれは、思い出せなくてかえってよかったのかもしれない。
あれから南条さんは、特に変わったことはない。
さすが、できる男はスルースキルもすばらしい。
そっとしておいてくれているんだな。お優しいわ。
……にしても、何喋ったんだろう、私。記憶ない間に。
2ヶ月前の話だというのに、今更モヤモヤが募る。
結局、気にしている。
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