side K

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視線を戻して、人の良さそうな二人組を見る。 私が言うのもなんだが、彼らはかっこよろしいわけではない。 南条さんに比べたら153ランクくらい下だ。 でも、私と同じくらいの歳に見えるし、指輪もしていない。 雰囲気も優しそうで、面白そう。 売れ残り女としては、せっかく珍しくキレイに着飾っているのだから、現実問題、この機会を逃す手はないのだ。 彼ら自体と縁がなかったとしても、彼らの友人や同僚やハトコとご縁がつながるかもしれぬ。 縁は異なもの味なも……。 「小宮さん!」 「ふぁいっ!」 気付けば杉中さんに手を引かれて移動していて、彼らのテーブルに着席していた。 ぼーっとしていた私の背中を軽く叩いた杉中さんは独身仲間。 合戦をいざ始めんとの面持ちで私を一瞥し、 「じゃあとりあえず、かんぱーい!」 という殿方のお声に、一変して満面の笑みでグラスを上げた。
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