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「これの入力と、あと、この資料を先方に分かりやすいようにグラフ化してください。時間があれば、これとこれもまとめていてくだされば助かります」
朝礼後、各々慌ただしく仕事を始める中、今から外回りに出る南条さんに指示を受ける。
「わかりました」
「よろしくお願いします」
資料を受け取る際、ほんの微かに触れる指と指。
「わっ! すみません」
「失礼。では、行ってきますので」
「お気をつけて」
頭を下げて、フロアを出ていく南条さんを見送る。
指が触れた……。指が……。
「へへ」
今日だけでも洗わないでおこうかな、と思いながら、にやけてしまう顔を戻せない。
「小宮先輩」
「え?」
「これ、南条さんの忘れ物じゃないですか?」
「あ! ホントだ」
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