side K

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デスクに置いたままになっていた封筒を見て、私は慌ててそれを持って彼の後を追う。 フロアを出て、廊下を走って、3つ並んだエレベーターの前。 見ると、ちょうど一番奥のエレベーターが閉まる直前で、南条さんがひとりで乗っているのがわかった私は、「なんじょーさーんっ!」と叫びながら、ギリギリそれに飛び乗った。 「あのっ、これっ、忘れ物じゃ……」 息を上げながらA4封筒を手渡す。 と同時に、エレベーターの扉が閉まった。 「あ」 アウチ。 一緒に下まで行ってしまうじゃないか。 なんてカッコ悪い……。 「……あぁ、これは、先程羽島課長から頂いた、他社のパンフです」 「へ?」 「私のデスクに戻しておいてください」 「あ……は……、そうなんですね。わかりました」
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