side K

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はぁぁぁぁ、と脱力のため息をつく。 なんだ、勘違いか。 カッコ悪さ倍増。 ……恥ずかし。 「走ってきてくださって、ありがとうございます」 無表情ながらも温かいお声かけをしてくださる南条公に、 「いえ……。すみません、確認もせずに」 と、頭をかいて謝る使用人1。 ……って、あれ?  なんか、ふたりきりで話してるぞ。 これ、あの時を思い出すな。 1か月前のビアガーデンで向かい合って話した、あの時……。 「……髪、少し切りました?」 「えっ? ……あっ、はいっ」 エレベーターが下りていく感覚と相まって、動揺と歓喜で胸が震える。 き、気付いてくれた!  女性社員さえも、なにも言ってくれなかったのに。 うわー、うわー。 嬉しい。 嬉シャス!
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