side N

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先程から見ているが、だんだんと揺れ幅が大きくなってきている。 酔いを助長させるためにあえてそうしているのか、と言いたくなるほど。 「あ、前の男に両肩掴まれて固定されてる。……あ、離したらまた揺れ始めた」 「めっちゃ笑ってるぞ、周り。遊ばれてるじゃねーか」 確かに、オモチャにされている感はある。 けれども、彼女は断らずに自分の足であちらのテーブルに行ったのだ。 自己責任だ。 無言のまま視線を伏せて酒を口に運ぶと、前に座っていた羽島課長がすくっと立ち上がった。 「おい、南条、行くぞ」 「……どこにですか?」 「小宮さん、まずいだろ。連れ戻しに行くんだよ」 「彼女は大人ですよ。それに幸せそうな顔してるじゃないですか」
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