side N

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「あの店員さんとお知り合いなんですか?」 お金を払う払わないの押し問答をようやく終えて歩き出すと、小宮さんがふと聞いてきた。 コンビニからは歩いて帰れる距離なので、ふたり並んで横断歩道を渡る。 「いえ。知り合いではないですが」 「が?」 「…………以前、仲良くなりたいと連絡先を渡されそうになりました」 言う必要はなかったはずなのに、興味津々な眼差しを向けられ、正直にそう言ってしまった。 「そっ、それは、その……」 「おそらく、そういう方なのかと」 「ふぉーー……」 相槌がおかしい小宮さんは、驚きと興奮を湛えた目で、一層関心を示した。 「さっきの彼の反応でもしやとは思ってたんですが、さ、3次元で初めてお目にかかりました」
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