side N

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『結局は“触れたい”じゃないですか? こんなふうに』 『だって、私、南条さんのこと好きですもん』 空を見上げたまま、不意に甦った小宮さんの満面の笑みと、彼女の手が俺の頬に触れた感触。 「……」 わかっている。 あれは酒がそうさせているだけだと。 古賀さんや他の人にも同じようなことを言っているのだと。 ……でも。 「予約しているので、古賀さん抜きで行きませんか?」 愚かなことに、あの笑い顔をまた間近で見たいと思ってしまうのだ。      
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