side N

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12月14日は、曇りだった。 取引先から出て車に戻った俺は、ハンドルに手をかけてビルとビルの間の空を見上げる。 会社へ戻ろうとエンジンをかける間際、背広のポケットの中が振動した。 ケータイを取って画面を見ると、そこには“古賀さん”との文字。 「はい」 『南条さんすか? 俺です、古賀です。お疲れ様です!』 「お疲れ様です」 『今外っすか? 電話大丈夫っすか?』 「はい」 『今日の夜の件ですけど……すみません! 俺、今G社の人にメシ誘われちゃって、どうも断れる状況じゃなくてですね。俺南条さんといろいろ話したいし、行きたい気持ちはやまやまなんすけど、あの』
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