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「いいの。わかってるのよ、三浦さん。カミングアウトするけどね、私腐女子なのよ。その上この体型でしょ? そして30過ぎてるでしょ? あぁ、言ってて泣けてくる。私、終わってるわ。ええ、そうよ、終わってるのよ」
「この体型って。ちょっとふくよかなだけで健康的じゃないですか」
「見たことないでしょ、私の裸。なんなら今……」
「わーーー」
服をめくろうとする小宮さんを、慌てて止める三浦さん。
このテンションの小宮さんを散々見てきた俺は、
「三浦さん、無駄ですよ。小宮さんはこのモードになると、何言っても無理です」
と諭す。
酒をすすめたのは、自分だ。
己は飲まないくせに、わざとすすめた。
罪悪感がないと言うと嘘になる。
けれども、三浦さんを事後報告で誘った小宮さんのことを思うと、その罪悪感もいくぶん薄れた。
「……小さい人間だな……」
「え? なにか言いました? 南条さん」
「いえ。なにも」
三浦さんにそう返して、俺はコーヒーカップを空け、ソーサーに戻した。
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