side N

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仁科サラから電話があったのは、俺が小宮さんへの気持ちを自覚した次の週だった。 取材協力してほしいということ、そして傘を返したいとのことで、食事に誘われた。 気乗りはしないものの、仕事の話が絡むので断れず、昼食でよければと了承した。 「すみません。何度も」 「いえ。こちらこそ、うちの会社の近くの店にしていただいて申し訳ないです」 「申し訳ないだなんてとんでもないです。私、ここのお蕎麦屋さん一度来てみたかったので。今日はありがとうございます」 深々とお辞儀をして席に着く仁科さん。 一続きの座敷で、隣の席とはのれんで仕切られているため、半個室になっている。 「それじゃあ、さっそく……」 注文してすぐに、仕事に関しての質問が始まった。 威勢の良い店員の声をバックに、俺はできるだけ簡潔に分かりやすく回答し、説明することに徹した。
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