side N

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「おまちどうさまでーす」 質問自体は2つしかなかったため、蕎麦が運ばれてきた時には、ちょうど仕事の話はひと段落ついた。 「すごくわかりやすかったです。後から気になることが出てきちゃって、お聞きしたいと思ってたんです。おかげで充実した内容になりそうです」 「そうですか」 箸を割り、湯気の立つ蕎麦を口に運ぶ。 前回同様、仕事の話が終了すると同時に、話題はなくなった。 そもそも、会って食事を共にして話すほどのことではなかったのではないか。 質問なら電話で、傘返却なら会社帰りに立ち寄る程度で……。 「またお食事ご一緒できて嬉しいです」 ひたすら蕎麦をすすっていると、仁科さんが声をかけてきた。 顔を上げると、湯気の向こうにキレイに笑う彼女。
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