side N

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……細い指だ。 小宮さんはもっと……。 ぼんやりと、彼女の指の感触を思い返していると、 「それで、本題なのですが」 と、仕切り直される。 本題?  仕事の話が本題ではなかったのか? 「南条さん、恋人はいないとのことでしたよね?」 「……まぁ」 「それなら、まずは食事仲間という形から交際できないでしょうか?」 「……」 「あ、順番間違えました。私、南条さんのこと、すごく素敵だなと常々思っておりまして」 「……」 「要するに、仲良くさせていただいて、最終的にお付き合いさせていただきたいなと……」 まるで何かに勧誘されているような、何かを流れるように購入させられているかのような感覚。 流暢な口調の仁科さんと視線を合わせると、彼女は首を傾けて、「どうでしょうか?」と言わんばかりの笑顔。
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