side N

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なぜ、こんなに自信ありげなんだろうか。 なぜ、手を離してもらえないのだろうか。 ストレートにものを言う。 それはある意味とてもうらやましいことだが……。 「申し訳ないですが、意中の方がおりまして」 だからこそ正直に答えるべきだろうと思った俺は、確かな口調でそう返した。 「えっ! そうなんですか? お気持ち、伝えないんですか?」 「伝えましたが、“無理”だそうで……“ありえない”と……」 仁科さんの流れるような質問にうっかり口が滑り、そこまで言う必要はなかったと黙すると、 「南条さん相手に“ありえない”? ホントですか? それ」 と、眉が上がり、目も大きくなる仁科さん。
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