side K

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「へへへー」 私は両頬を手で覆って、いっそう顔をふやけさせる。 実は、夢の中でとうとう、とうとう……。 「安いねー、お姉ちゃ……って、あれ? なにそれ。“Z”?」 「え?」 私の右手の甲を指差したあーちゃん。 私は顔から手を離して、その部分を見てみる。 「……」 朝日を浴びてその光を反射する右手の甲。 その手首近くに1センチほどの“Z”の文字。 「…………」 あれ。 ……いやいや。 「いやいやいやいや。いたたた……」 「お姉ちゃん、二日酔いで頭そんなに振って、バカなの?」 あーちゃんの声が遠くに聞こえる。 私は昨夜見た夢を、まるで古いアルバムを超スピードで捲るかのように必死に思い返していた。 「いやいやいやいやいやいや。あたたた……」 「だからさ、バカなの?」    
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