side K

14/35
前へ
/35ページ
次へ
二日後。 終業時間になり、デスクの片付けをする私は、相変わらずぼんやりしていた。 フロアの大きな窓の外では、建物の灯りがポツポツと灯っており、水色と黒がまだらになったような空が、寒々しさを表している。 もうすぐ真っ暗になるだろう。 隣の席の三浦さんは昨日一昨日風邪で休んでいたので、今日は羽島課長が促して少し早めに退社していた。 南条さんと古賀さんは、昼過ぎに出た外回りからまだ帰ってきていない。 杉中さんと安達さんはすでにロッカールームへと移動しており、羽島課長は部長につかまっていた。 「はぁ……」 営業二課のデスクの島でひとり、私は小さくため息をつき、こっそり引き出しに忍ばせておいたチョコレートを頬張る。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2841人が本棚に入れています
本棚に追加