side K

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「以上、4点で1,126円になります」 ハーゲンダッツのバニラとスミノフとウメッシュと2切れ入りケーキが、コンビニ袋の中に入れられる。 小銭がなくて2千円を出すと、ふいに、 「ケーキのスプーンはおふたつですか?」 と聞かれ、私は俯いていた顔を上げた。 「いえ、ひとつで……」 人差し指を立てながらそう返してしっかりと見た店員さんは、サンタコスの可愛い系男子。 アイスとケーキのスプーンをひとつずつ袋に入れながらはにかんでいるその顔は、どこかで見覚えのある顔だった。 「どうも」 「……どうも」 私に気付いていたらしい彼の挨拶にこちらも応じると、ようやく記憶が呼び起こされた。 そうだった。このコンビニ……。 この男店員、南条さんのことが好きなんだった。 「ん?」 なんとなく違和感を感じたけれど、後ろにお客さんが並んでいることもあり、ささっとおつりをもらって外へ出た。    
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