2842人が本棚に入れています
本棚に追加
「……っ」
しまった、口に入れすぎた。
「ぐっ」
トントンと胸を拳で叩くと、涙が出てきた。
苦しかったからだ。苦しかったから……。
「うっ……」
ポロポロと、丸っこい滴がケーキの上に降りかかる。
やだ、塩味になっちゃう。もったいない。
“あれは鑑賞用。ただの憧れ。アイドルと一緒”
“いやいや、憧れであって、そんな好きだなんて大それた……“
なぜだか、自分に言い聞かせていた言葉の数々が頭の中でひらひらと踊る。
「……っ」
そしてそれらは、薄いセロファンのようにくたりと地面にうなだれ、もう何の意味もなさなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!