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ただのあこがれ?
そんなんで、こんなに胸が痛くなるの?
そんなんで、彼の言葉や一挙一動に期待したり落ち込んだり、振り回されたりするもんなの?
肩に触れた体に、密着感に、かかる吐息に、触れる指先の温度と感触に、こうまで敏感になって、恥ずかしくていたたまれなくなるもんなの?
「……っう」
ていうか、なんだよ分母って!
「うーーー……」
自分で何も動かないくせに、いっちょ前に傷付いて泣く。
望んで不戦敗なのに、なんてバカなんだ、私は。
それなら自覚なんてすんな、っての。今更だ、っての。
目を拭うと、いつの間にか手の甲についていた生クリームが目尻についた。
情けなくて、もっと悲しくなる。
散々なクリスマスイブだ。
……久々過ぎて、恋かどうかの判別もつかなかった。
いや、傷付きたくなくて、認めようとしなかっただけ。
私は、とうの昔に南条さんを本当に好きになっていた。
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