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無理やり今のをなかったことにした私は、引きつった笑顔を作って話を戻す。
「あ、私はですね、お鍋にしたり、ロール白菜にしたり、スープにしたり、あんかけなんかにもいいですよね。あとはやっぱりお漬物とか」
「料理は不得手ですので」
…………おふ。終了。
「できれば……」
「あっ、そうですね! ほらっ、彼女! 彼女に作ってもらえばいいんですよね。そうだそうそう」
名案を思いついたというように、私はつないだ手を一回縦に揺らした。
あぁでも……自分で自分の傷をグサグサ刺しているのがわかる。
痛いよ、痛い。
ドMだな、私。
「作っていただけますかね?」
「そりゃあ、もちろん作るでしょ」
「……」
南条さんはほんの少し目を伏せて、コホンと小さな咳払いをした。
ようやくテンポができたと思っていた会話が一時中断する。
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