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「……」
「私レベルならクマさんくらいがちょうどいいかな。あっ、でも辻森さんがクマさんってわけじゃないですよ? 似てるけど。身の丈にあったいい人がいればいいななんて思ってるだけで。あ、これも失礼か、ハハハ」
「なにを言ってるんですか?」
私のマシンガントークに、南条さんの冷静で硬い声が冷や水をかける。
無理して賑やかにした廊下の空気が一瞬で凍った。
「なにって……」
「そう言って分母を増やしては、こんなふうに隙を見せ続けるんですか?」
「え?」
「他の人にもこういう状況を作ると?」
「……」
握られたままの手を引かれそうになり、私は瞬時の緊張からか恐れからか、後ずさる。
寄せることをやめた南条さんは今度は歩みより、数歩それを繰り返したのち、手を拘束されたままの私は行き場を失った。
あれ?
なにこれ。なにが起こってるの?
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