side K-2

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「……」 「私レベルならクマさんくらいがちょうどいいかな。あっ、でも辻森さんがクマさんってわけじゃないですよ? 似てるけど。身の丈にあったいい人がいればいいななんて思ってるだけで。あ、これも失礼か、ハハハ」 「なにを言ってるんですか?」 私のマシンガントークに、南条さんの冷静で硬い声が冷や水をかける。 無理して賑やかにした廊下の空気が一瞬で凍った。 「なにって……」 「そう言って分母を増やしては、こんなふうに隙を見せ続けるんですか?」  「え?」 「他の人にもこういう状況を作ると?」 「……」 握られたままの手を引かれそうになり、私は瞬時の緊張からか恐れからか、後ずさる。 寄せることをやめた南条さんは今度は歩みより、数歩それを繰り返したのち、手を拘束されたままの私は行き場を失った。 あれ?  なにこれ。なにが起こってるの?
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