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気付いたらキッチンエリア。
ちょうど後ろに冷蔵庫があって、背水の陣ならぬ背冷蔵庫の陣。
もしくは壁ドンならぬ冷蔵庫ドン。
って、もはやなんのことやらわからない。
「あの。南条さん、こ、こういうの、されると、こま、困ります。酔ってるからって、人違いじゃ……」
「酔いは醒めたし、間違ってもいないです」
今までで一番、向かい合った顔と顔が接近する。
小さい私の背丈に身をかがめた南条さんの前髪が私の前髪にかかり、照明を背にした彼の影にすっぽり覆われる。
「……っ」
生唾を飲んだ私は、至近距離で絡められる南条さんの視線に石化状態。
冷ややかさと熱っぽさを両方宿す黒目に捕えられて、瞬きしまくりの私の目は逸らすことを許されない。
急速に上昇する体の熱。早鐘を打ちまくる心臓。めちゃくちゃな警笛を鳴らす脳内。体中の毛穴という毛穴から噴き出る汗。消費カロリー増加、オートマティックダイエット。
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