side K-2

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は…………? 『うん、カノジョ。俺がお膳立てしてやったんだけどね、うまくいってるみたい』 『そう! サラ! 知ってんの? 小宮さん』 『最近できました』 『かなり』 な……に……してんの? 南条さん。 ………………『二股はいかんね』 あーちゃんに言った自分の言葉が、どこまで飛んでいっていたのか知らないけれど、ブーメランのように勢いよく私に戻ってきた。 パンッと廊下に響く、乾いた音。 その音で、唯一ふさがっていなかった自分の左手が、南条さんの頬を叩いたのだということに気付かされる。 「あ……」 …………あれ? ウソ。私……。 南条さんの顔が打たれた方向に傾き、その片方の頬だけがうっすらと赤くなる。 「……」 ゆっくりとこちらへ戻される顔。 再び交差する視線。 艶をまとう、冷たい目。 そう見えるのは、この狼狽する自分の気持ちのせいなのかもしれないけれど。
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