2632人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
「古賀。小宮さんはお前を指名したんだから役目を果たせ」
「指名されるなら三浦さんのほうがよかったっすよー」
「おいこら、後ろ見て歩くな。倒れるぞアホ」
課長が睨みをきかせながら古賀さんの背中を押す。
そして、階段を上りきった私達は、夜の繁華街の賑やかさと光に包まれた。
0時を回っているというのに、さすがは年末だ。
少し歩けば通りに出て、数台待機しているタクシー乗り場に着いた。
「羽島課長は三浦さんと一緒でいいですよね?」
「あぁ、うん。どーも。お先に」
先にふたりを優先させてタクシーに促したのは南条さん。
私はさっきの光景が生々しく頭に残っていたもんだから、方向が一緒だっていう正当な理由があるのにもかかわらず、過剰にドキドキしてしまった。
妄想力がたくましすぎて困る。
最初のコメントを投稿しよう!