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「つーかよぉ、南条とうまくいかなくてサラ傷心なんだったら、ツジがその心の隙間に入ればいいんじゃねーの? 案外コロッといくかもよ? お前、花の独身だろ?」
「堤、お前さ、アッチがダメならコッチとか、ゲームじゃないんだから人の気持ち考えろよ。俺は今、意中の姫がいるんだよ」
「はーーーっ! 姫っ!? 姫とかっ。ハハハハハ」
爆笑している酔っ払い堤課長の隣で、俺は酒を運ぶ手を止めた。
「…………どんな方……ですか?」
ゆっくりと顔を上げて尋ねると、辻森さんは、
「幸せそうにご飯を食べる人」
と笑顔で答えた。
「……」
「なんだよ、そりゃ。ピンポイントなのにアバウトだな。全然わかんねぇよ」
「うるさい。花を好きな人に悪い人がいないように、ご飯を美味そうに食べる人にも悪い人はいないんだよ」
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