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時峰さんは真っ直ぐにこちらを見て、僅かに口角を上げて微笑んだ。
俺はしばらく無言でその言葉を考えた後、
「なぜ、そのようなことを私に?」
と尋ねた。
彼は枝豆を手に取り、クルリと回しながら、
「なんででしょうね」
と言い、取り出した豆を口に入れる。
飄々としつつも意味深で、掴みどころがない人だ。
「……当たっていたとしても、今更どうでもいい話です」
「へぇ……。“今更”」
「……」
「南条さん、正直なんですね」
おしぼりで軽く手を拭いた時峰さんは、今度は少しいたずらっぽくニッと笑う。
「いいんですか? 辻森さんが本気出しちゃっても。あのおじさん、意外とやり手ですよ?」
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