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なぜ、そんなふうにたきつけるようなことを言うのだろうか。
昨日の件で、もう本当に“今更”としか言いようがないのに。
これ以上ないくらい、悪者に成り下がったというのに。
「なにがおっしゃりたいのですか?」
関係をかき混ぜ、その慌てた滑稽なさまを傍観して笑いたいだけなら、悪趣味すぎる。
そんな不信感が視線に表れていたのか、時峰さんは、
「ホント、お互い不器用なんですね、ってことです」
と言って穏やかな視線を返し、悪意がないことを示した。
「…………」
その“お互い”というのは、俺と時峰さんということなのか、俺と辻森さんということなのか、それとも、違う誰かのことなのか。
深く聞こうと思うと、視界がグラリと揺れた。
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