2491人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「え? 南条さん?」
時峰さんの声に顔を上げようとするが、顔面をテーブルに打ち付けてしまう寸前で、かろうじて片手で支える。
ガタン、と結構な音が立ってしまった。
「……」
なんだ? 酔いが……回ったか?
いくら飲んでも、こんなふうになることなどなかったのに。
隣で盛り上がっていた堤課長も俺の異変に気付き、肩に手を添える。
「あ? 南条、お前」
その手を、今度は俺の首元へと押し当てる堤課長。
「熱あるだろ、これ。なんで酒なんか飲んでんだよ」
「…………」
悪態のひとつでも返そうと思ったが、気力がなくて俺は何も言えなかった。
そして、課長が呼んでくれたタクシーに乗り、店を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!