side N

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途中で彼女がおそらく記憶がなくなるほどまでには酔っていないと気付いていながらも、どこかで受け入れてもらえる気でいた。 ましてや、彼女が微かに以前の記憶があることを仄めかしたものだから、迂闊にも浮かれていた。 無理やりなキスも、『悩めばいい』なんて暴言も頭にはなかった。 すべて口が頭を介さずにしてしまったことだ。 なぜなら、頭では順序立てて説明して、冷静に想いを告げるつもりだったからだ。 それが最善だと疑わなかった。 のにもかかわらず、俺は…………。 コツンと、顎を上げてその頭を力なく壁にぶつける。 「……」 “つもりだった”といくら自分に弁解したところで、事実は変わらない。
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