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「おい、聞いてるのか? 南条」
「……聞いていますが」
堤課長行きつけの居酒屋はいつも以上の込み具合で、その人口密度と騒がしさに悪酔いしてしまいそうだ。
「なぜ仕事納めの翌日の夜に、呼ばれなければならないのですか?」
「それはほら、俺はお前より上の立場だし、嫁は子ども連れて実家帰ってるし」
「そういうのはパワハラにあたりますし、奥さんとの喧嘩にも巻き込んでほしくありません」
「ちげーよ! 遊びに行ってて明日帰ってくることになってんだよ。それに面と向かってパワハラって言えるようなやつにはパワハラにあたらねーよ」
「無茶苦茶ですね」
呆れながらそう言って手元の日本酒を飲み干す。
いつもよりも不味く感じるのは、空気のせいか気分のせいか。
「なんだ? いつもより言うな、南条。なんか悪いこととか嫌なこととかムシャクシャすることあったわけ?」
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