side N

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人の不幸を面白がるようにニヤニヤと笑う堤課長に、俺は、 「……いえ」 と返し、手酌で堤さんと自分のグラスに酒を注ぎ足した。 「おー、いたいた。お疲れ、堤」 ふいに背後から堤課長に投げられた声に振り返る。 そこには辻森さんと時峰さんが立っていた。 「おせーよ、ツジ」 「あぁ、南条さんも。お疲れ様。俺らんとこ今日が仕事納めで」 辻森さんの言葉に、堤課長から何も聞いていなかった俺はそれを顔に出さないようにして、 「お疲れ様です」 とふたりに頭を下げる。 そして、説明を促すように堤課長へ視線を戻した。 「あー、ツジとは大学の時からの付き合い、ってのは前に言ったことあったよな? コイツに電話したら留守電だったから、その後南条にかけたってわけ。そしたらその後でツジがかけ直してきて仕事が終わるって言うもんだから、それならいっそ両方集まって宴会でもするかって」
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