side N

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仕事の話や、堤課長の奥さんのグチがひと通り終わると、ふいに辻森さんが、 「あ、そういや南条さん。サラとは結局どうなったの?」 と聞いてきた。 「そう! それなんだよ、ツジ。コイツ何回聞いても、なにもない、ってシラを切って。いい加減に認めろって話」 「いえ、だから、本当になにもないです」 しつこく絡んでくる堤課長を一瞥して、事実を淡々と述べると、 「そうかー、サラでも南条さんは落とせないのかー。手強いなぁ」 と、腕を組んで体格のいい体を揺らす辻森さん。 眼鏡をかけたクマが笑っているように見える。 「堤課長も辻森さんも、仁科さんと仲がいいんですね」 「お? ヤキモチか? 南条」
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