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「小宮さん。南条遅くなるから、出先から直帰するって。今つながってるんだけど、何も報告することなかった?」
夕方、2課の女子社員の中で最後まで残っていた私は、南条さんからの電話を取った羽島課長の言葉に、
「ないです」
と答える。
別に南条さんの帰りを待ってて遅くなったわけじゃないけれど、なにか話をされるかも、とほんの少し思っていたため、若干拍子抜けしたことは否めない。
ちょうど帰ろうとしていた時で、半分腰を上げていた私は席を立ち、受話器を置いた羽島課長に、
「お先に失礼します」
と声をかける。
「あ、小宮さん」
「なんでしょう?」
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