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「どうなさいました?」
「いえ、ちょっと……」
そこで鳴ったのは私のお腹の音。
なんとも間抜けに響いた音は、なけなしの私の女子力を一気にゼロに落とし、女子力満点の目の前の女性に、
「あ、私夕食まだなんですけど、小宮さんもまだならつきあってくださいません?」
と言わせてしまった。
「ここ、安いし早いし美味しいし、私大好きなんです!」
てっきりこ洒落たレストランに行くのかと思いきや、ハーフのモデル体型美女に連れてこられたのは大衆居酒屋だった。
しかもカウンター。
しかもサラさん既にハイボールジョッキ3杯目。
目の前には、刺身に焼き鳥にたこわさに枝豆におでん。
客入りも上々で、背後も横も賑やかだ。
「美味しいですね、ホント」
ハハ、と笑って1杯目のビールを飲みながら、私は想い人の彼女となにをしているんだ、と自問した。
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