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ふたりで空を見上げ、しばらく互いに無言になる。
薄い雲がゆっくりと流れてくれば、やはりそちらへ目を向けて、アホみたいに平和な時間を羽島課長と共有する。
「……嘘をつきましたよね、羽島課長」
「あ?」
「口づけすれば、落ちるって話」
空を仰ぎながらそう言うと、羽島課長は頭を傾けて、
「そんな話したっけ? てか、それってもしかして拒否されたってこと? フラれたのか? 南条が?」
と返す。
「……」
「あー……わりぃ……」
「いえ」
頭をポリポリ掻いた羽島課長は、顎に手を置いて、「うーん……」と小さく唸る。
「南条、お前……実はけっこう不器用なのか?」
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