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「わっ」
「…………失礼」
昼休憩終わり間近、フロアを出て、営業先へ向かうべく廊下を歩いているときだった。
トイレから偶然出てきた小宮さんとぶつかりそうになり、俺は彼女の肩を無意識に支えた。
「……」
手を離すのが遅くなったのは、以前触れた時に比べてやはり細くなっていたから。
くわえて、顔色もかなり悪いように見えたからだ。
「すみませんでした」
目を合わせることもなく立ち去ろうとする彼女。
年が明けてからずっと同じだが、ベルトを返した時から一層避けられている。
そしてやはり、互いにその話題に触れることはなかった。
「おう、南条。小宮さんも」
小宮さんが一歩進んだところで、フロアから出てきた堤課長に声をかけられ、彼女も足を止めざるをえなくなった。
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