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「あ……そうですか。わかり……ました」
「グッドラック。なかなかいい男だぞ、アイツ」
小宮さんの肩をポンと叩き、したり顔でにんまりと笑って去っていく堤課長。
小宮さんは作った笑顔を返して、エレベーターの方へ歩いて行く堤課長を見送った。
目上から手渡されるのでは、断りようがないのはわかる。
たとえ……その気があっても、なくても。
ただ……。
「…………」
焦りにも似た、さっきとは違う種類の苛立ちが、胸中で外へ出たいと暴れているのを自覚する。
斜め上から彼女が手に持つ名刺を肩越しに眺めるが、俯いて髪で隠れている小宮さんの表情は見えない。
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