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驚いて覗き込んだ彼は、抱えている人物が小宮さんだと分かった途端、その真っ青な顔に手を伸ばしてきた。
「触れるな」
咄嗟に、自分でも驚くほどの硬く冷たい声が出た。
一瞬ビクッとなった古賀さんは、俺のその声に手を止める。
びっくりした表情をこちらへ向けられたことで我に返った俺は、
「あ…………失礼。どういう症状なのか分からないので、触れないほうがいいかと……」
と、苦しい言い訳を付け足した。
「あっ、そうっすね。すみません」
古賀さんは、ハハ、とバツの悪そうな顔をして手を引っ込める。
俺は、こんな時にまで顔を出すみっともない独占欲に自己嫌悪を覚えた。
ともかく……。
「古賀さん。申し訳ないですが、ひとつお願いをしてもいいですか?」
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